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紅茶提督一つ穴主義!…のドン亀更新。
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リハビリ的なオベ誕です。てか別に祝ってない。とか、あれ?ロイヤンパターンじゃね?とか、ヤン誕は?とか、突っ込みなしでお願い致します…m(__;)m
 
オベの必需品ラーベルト執事を忘れていたよΣ(@□@)
…別ネタ浮かびましたが、うん、間に合う訳がない!

昨日今日でちょこまか付け足しました・・・。

 
 
カウンターでひっそりと一人グラスを傾ける男の姿にアンドレ・フェルナーは思った。
 
え?アンタ、ナニしてんの?
 
 
彼は、そこそこ気の利く男だ。先々月から続く年度切り替えの忙しさが少し収まりを見せた5月に入り、ふと思い出した事がある。
……そーいえば―――。
忙しい最中にいつものように着替えを持ってくる寡黙な執事が珍しく苦言めいた事を漏らしたのは4月の初めの頃だったのを思い出した。
お電話の一つも下されば…、という一部ではなんの事だか判らず、また、気にする余裕がない程の忙しさにすぐに忘れていた。
一つ思い出すと、やけに皇帝宛の書類が多かったことも思い出し、漸く意味が判った。
 
かの魔術師の誕生日だったのだ。
 
軍務省は皇帝とほぼ直結しているので自分の仕事が終われば必然的に皇帝の仕事も終わりとなる。恋人に思慕を抱く男が誕生日プレゼントを持参してくる事が予想できるので敢えて仕事を増やしたのだ。今日に限って何故だ?!とぼやいていたのを聞いたし、執務机の陰に隠れてラッピングされたブランデーと思しきものが入ったバックもあった。
……だからって自分の時間まで削るかぁ?
一人でいる魔術師の心情を思えば他者に対して滅多にしない同情をしてしまう位には、彼は彼を気に入っていた。
オーベルシュタイン邸にて隠居となった今ではヤン・ウェンリーの姿を目にする者は片手に余るくらいであり、その希少数の中に彼自身は入っていないが上官であるパウル・フォン・オーベルシュタインを通じてその影響力をフェルナーは感じていた。
 
冷徹・剃刀・劇薬などと謂わしめる上官は以前から難解な上に極端であったが、その方向性が面白い方に変わっているのだ!
 
――間違いのように追記するが、彼独特の感性で、だ。より扱い辛くなった、が他の者の感想である。
 
話を戻すと、先月のヤン・ウェンリーの誕生日には帰宅すら出来ない状況であったので、オーベルシュタインの誕生日の今日くらいは(子供の日という似つかわしくない日なので逆に覚えた)と上官を早く帰宅させるべくフェルナーは執務に勤しんだ。無論、彼自身早く帰りたいという気持ちもある。その甲斐あって20時前にはオーベルシュタインを元帥府から追い出す事に成功した。
残った細かな雑務をこなし、フェルナー自身も21時過ぎには海鷲の歴史ある重厚な扉を開く事が出来た。
 


そして今に至る。 
てっきりナニしてるのだと思ったのに、何故居るのか?
「………」
さあ、どうすべきか?
空いているテーブルはある。しかし独り酒ならカウンターが定石だ。となれば流石に声をかけないわけにはいかないだろう。
だが、なんて声をかけるか?
『今日くらいは早く帰った方がいいのでは?』…いや、余計なお節介だ。そんな余計なお節介をするのは主義に反する。
『帰り辛い理由でもあるんですかぁ?』…いや、無理だ。そんなフレンドリー(?)なことを上官に言う自分が気持ち悪い。
『閣下の誕生日なんですからごちそうが待ってるんじゃないんですか?』…嫌だ。なんのひねりもないことを言う自分が許せない。
席に着かない彼にボーイが近付き、一礼して案内を買って出たがそれを辞して、面倒臭くなったフェルナーは結局オーベルシュタインの隣の脚の長い椅子をひいた。周囲に無関心なオーベルシュタインとはいえ流石に視線くらいは動く。
「…どうも」
笑顔に無表情が返されるが気にせずに腰を下ろし、バーボンのロックを注文。
「てっきり帰られたと思いましたよ」
直ぐに用意されたグラスを持ち上げ、暗に、なんでいんの?と問いかける。この時、不用意に顔を見てはいけない。感情の窺え知れない義眼の視線は全てにおいて萎えるからだ。
「帰ったところでなにをする訳でもない」
下手に早く帰ろうものなら執事に厭味を云われるのだ。何故なら、早く帰るとヤンが喜び、嬉し過ぎてブランデーのボトルを3本も開けるからだ。執事のラーベナルト的に主がきちんとヤンの酒量を調整してくれれば問題がないのだが、嬉しそうにグラスを傾けるヤンが愛しくて(無表情ですが)止める気が起きない。
滅多に早く帰宅する事のない主なのでヤンの気持ちも判り、3回4回は大目に見た執事も流石に翌日のヤンの惨劇に苦言を呈した。これまた滅多にない執事の苦言にオーベルシュタインは些か面白くなく、時間潰しに呑んでいたのだ。
そんな理由があるとは思わないフェルナーは上官の返答を斜め上に解釈した。

ナニしてりゃいいじゃん!

ツッ込みたいのを堪え、ふと、おや?と思う。
…なんだ?この違和感?
正体不明のモヤモヤが気持ち悪いが、惜しい事に彼はそこまでデリケートではなかった。
「…お待ちになられているでしょう?」
誰が、と明確にすることのない言葉に揶揄いのスパイスを塗すと、オーベルシュタインの冷淡な視線が突き刺さり、フェルナーは内心でホールドアップした。それでも口端を心持ち上げる。図太さが彼の持ち味だ。
「今日は特に、だと思いますよ」
グラスの中の氷が音を立てる。アルコールが咽頭を焼く感覚にフェルナーは酔った。
「特になにかある予定はないが」
「……えっ!?」
思わずギョッと顧みる。
「……なんだ?」
感情の窺え知れない義眼が珍しく明らかな不機嫌を表している。表情筋はビタイチ動いていないが。
「…や、今日5月5日ですよね?」
「……」
無言の肯定に挫けそうになるがフェルナーは意を決した。
「閣下の誕生日では…?」
覚える必要もないし、覚える気もなかったが、似合わな過ぎて嫌でも覚えてしまった。因みに、彼がオーベルシュタインの誕生日を知った時、彼はまともに立っている事が出来ずに壁に凭れるくらい笑った。現場が元帥府の廊下でなければ床に転げ回っただろう。涙ちょちょぎれ。
「………閣下?」
オーベルシュタインは中途半端にグラスを持ったまま固まった。無表情は鉄板である。
「………」
オーベルシュタインがスッ…とグラスを置いた瞬間、海鷲は新たな客を迎えた。
 
「おお!!オーベルシュタインではないか!」
 
「………」
このタイミングで陽気な酔っぱらいビッテンフェルトの登場にフェルナーはゲンナリした。なんて鬱陶しい。
鬱陶しいビッテンフェルトは更に鬱陶しい物体を連れていた。
「………オーベルシュタイン、だと…!」
「…………」
うわー、酔ってるよ、このひと。
据わっている眼でツカツカとこっちに来る皇帝(さっきまでビッテンに肩を担がれていた)に、まだ酔っていないフェルナーは起立で敬礼した。酔っていない自分が、何かに負けた様な気がしてなんか悔しい。
皇帝の登場に周りの関係ない客も戸惑ったが、ラインハルトは眼にもくれずカウンターを目指し、フェルナーは身を引いた。そしてラインハルトはカウンターに両手を付き、俯く。口惜しむように唇を噛み締めている―–―ように見えるが急に動いてアルコールが回ったようだ。ものすっごい顔色が悪い。
…えっ?!ヤバい!?
と、フェルナーは腕を下ろ――す事を許されない状況に陥った。
「……」
あちゃー、団体で来ちゃったよ。
ぞろぞろ続くは、へべれけのミュラー。彼はビッテンフェルトに肩を担がれていた。泥酔者2人を両肩に担いでいた体力自慢に脱帽だ。てか、梯子すんな!
じりじり、と踵を擦り下ろし、フェルナーは後退した。撤退の合図がないので去る事が出来ないどころか、アルコールで気さくさが増したビッテンフェルトに椅子を勧められてしまった。
「……」
配置が最悪であり、彼は納得できなかった。何故に泥酔者に挟まれなければならないのか。
非難めいた空気は一つ間を空けたビッテンフェルトに届く訳もなく、ウォッカのダブルを2つ注文し、ほら水だ、と泥酔者に勧めた。てか、呑むな!砂色!
 
「……オーベルシュタイン」
 
忘れていたが、吐き気が収まったラインハルトの声は恨み籠ったように低かった。
 
「…ヤンのいいものはなんらぁー?」
 
「…………」
……ああ、好きな物、ね。
呂律も回ってなければ頭も回っていないようだ。
本とブランデー以外のプレゼント計画を起てているらしい。しかし、万が一、奇蹟的に返答が返ったところで、覚えていられるのか甚だ疑問だ。
いや、それよりもゲラゲラ笑い過ぎだ、不敬罪だろう。てか、『ヤン』の単語一つでメソメソ泣き過ぎだ。って、自棄酒はやめましょうね!?それ水じゃないから!!
左側も気になるが右側も気になるフェルナーはただ只管カウンター向こうを凝視した。視線一つ動かせない彼は死んだ魚の様な眼をしていたとバーテンダーは思った。
 
 
「……善いところは、耳ですな」
 
「………」
………はぁっ!?
なにいっちゃってんの、このひと!?
思わず顧みそうになったが、意地でも身動きしなかった。関わったら負けの気がする。負けと判る勝負はしない主義だ。…しかし、右側の耳はダンボだ。
 
『好きな物』と言ったつもりのラインハルトもオーベルシュタインの答えに不思議そうな顔で凝視したが、そんな視線にも不敬罪が当たり前の彼は見向きもしなかった。
 
「耳の奥に息を吹きかけますと、ぴくりと身を震わせ、恥ずかし気に俯きます」
 
「………………」
何かに負けたフェルナーはチラリと視線を動かし、オーベルシュタインの横顔を見遣った。相変わらず鉄板の無表情が空恐ろしい。
 
 
「脇腹から腰のラインも善いらしく、布越しに撫でると息を詰めます」
 
 
フェルナーは悟った。先程感じた違和感の正体を。
 
酔っぱらいだ。
 
「乳首も敏感で、先にドライオーガズムで達した後では、唇を振るわせ抑えきれない喘ぎを涙を流しながら必死に堪え、軽い射精に何度も至るほど善いようです」
 
酔っぱらい、もうヤメとけ。皇帝が息をしてないぞ。
顔色は真っ青なのに赤い頬のラインハルトはプルプルしている。
てか、そんな生々しい話、フェルナーも聞きたくなかった。呼気とともに乾いた笑いが漏れるのを止めようもなかった。
 
 
「太腿の内側の肌は特に弱く、軽く吸うだけで艶やかな痕が残りますし、元から快楽に弱いのでしょう。最近では口腔内を指で弄るだけで明らかな反応を示すようになりましたな」
 
 
恋人の開発に成功したのに得意気でもないのが薄ら寒い。
正直キモい。だが酔っぱらった上官とは珍しく、慣れてくると段々面白くなってきた。…彼の感性はちょっとズレている。
…って、なんだこの血の池は!?
視界の隅からジワジワと広がっていく血の赤に流石のフェルナーもギョッとた。
みるとタウンターに突っ伏した砂色を中心に広がっている。妙にサラッとしているのは涙と涎と鼻水が混じっているからだろう。
軍人である以上流血沙汰に免疫のあるフェルナーはその割合が頭に浮かび、救急車の必要なしと冷静に判断した。
そして隣の猪は気にせず、おかわり!と元気一杯だ。こちらは単に酔っぱらいなだけである。
なんて疲れるメンツだ。カウンターを拭うバーテンは動く屍のようだった。
 
 
「指でP――をP――して焦らしますと、善すぎて我慢できないのでしょう、咽び泣きながら許しを請います。この状態時は腰が抜けている時が多いですので、小官のアレをアレするように命じますと一度立たざる得なくなりますので、震える様が子鹿のようですな」
 
 
 
酔っぱらいは無表情で淡々と放送禁止用語で猥談を語り、酸欠になった皇帝はとうとう卒倒した。
ばたーん!!と派手に卒倒した皇帝と大量出血の砂色提督に周りの酔っぱらい共がてんやわいやと騒ぎだし、ビッテンフェルトの一人一気呑みのセルフカウントの大声も混じる。
 
 
 
「善い箇所を執拗に責めますと…」
 
 
 
一種異様な阿鼻叫喚でも淡々と静かにオーベルシュタインの語りは続いた。
 
 
 
終わり。
 

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